VSTプラグイン・アウトボードエフェクト〈コンプレッサー〉の基本的な使い方
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- dbx 166xs, アウトボードエフェクト, アタックタイム(Attack Time), コンプレッサー(Compressor), スレッショルド(Threshold), ダイナミクス・レンジ, ダイナミクス系エフェクト, ミックス・マスタリング, リリースタイム(Release Time), レシオ(Ratio)

マキシマイザーやリミッターと同様にダイナミクス系(音量調整に関わる)のエフェクトとなるコンプレッサー。
DTMではほぼほぼ必須のエフェクトとなっており、DAWソフトに初めから簡易的なプラグインが搭載されているケースも少なくない。この記事では、そんなコンプレッサーの使い方について触れて行く。
コンプレッサー(Compressor)とは?
音を圧縮する為のエフェクト
コンプレッサーは、音を圧縮する為のエフェクトである。
VSTプラグインエフェクト以外にも、ギターのコンパクトエフェクターや当サイトで取り上げているdbx 166xsのようなラック型のアウトボードエフェクトにもコンプレッサーはある。VSTプラグイン〈マキシマイザー〉の基本的な使い方、避けたい使い方でも触れたように、このコンプレッサーを応用したエフェクトがリミッターでになる。
なぜ、音を圧縮する必要があるのか?
なぜ音を圧縮する必要があるのかと言えば、「楽曲を一曲通しで聴きやすくする為」であったり「音圧を稼ぐ為」が大体の理由である。人によっては、「アウトボードコンプを通した時に得られる質感を加える為」であったりするかもしれない。
普通、DAWソフト上に各楽器やヴォーカル等の音を録音したそのままの状態では(音量が小さい部分から最大音量まで)音量にかなりのバラつきがあり(「ダイナミクスが大きい」と言い換える事も出来る)、聴きにくい状態になっている。そこで、このコンプレッサーで音量の大き過ぎる部分を潰し、全体的な音量レベルをある程度揃える事で1曲を通して聴きやすくなる。
たいていの人は、コンポや携帯音楽プレイヤーで好きな音楽を聴く時に「1曲の中でボリュームを何回も調整する」なんて事はしないかと思う(もちろん、調整するん人もいるかもしれないが)。例えば、「Aメロは音が小さくて聴きにくいので音量を少し大きめの20に、Bメロで少し下げて18に、サビだとかなり音量が大きくなるので音量をさらに下げて12に、サビが終わってまたAメロになったら、また音が小さくなるので再び音量を20に・・・」と、言った具合に。いちいち、こんな事をせずとも一曲通して音量を12に固定したまま問題無く音楽を聴けるのは、コンプレッサーで音量を揃えているからである。
また、音量の大き過ぎる部分を潰し、全体的な音量レベルをある程度揃える事でヘッドルーム(-0dBまでの余白)が生まれ、コンプレッサーのゲインで持ち上げたり、後ろに挿したマキシマイザーやリミッターを使って音量・音圧を上げて行く事が可能になる。
コンプレッサーの基本的な使い方
コンプレッサーを使用する際、そのプラグインや機材によって細かいモードの設定等がある場合が少なくないが、とりあえずは以下のパラメーターの設定を覚えておけば、それなりに問題無いくコンプレッサーを使う事は出来る。
- アタックタイム(Attack Time)
- リリースタイム(Release Time)
- レシオ(Ratio)
- スレッショルド(Threshold)
- ゲイン(Gain)
“アタックタイム(Attack Time)”の設定
スレッショルドを超えた音に対してコンプレッサーが効き始めるまでの時間。
単位は、”s”(1s = 1秒)、”ms”(1ms = 0.001秒)。
“リリースタイム(Release Time)”の設定
音量がスレッショルドを下回ってからコンプレッサーが解除されるまでの時間。
単位はアタックタイムの場合と同じく、”s”や”ms”。
“レシオ(Ratio)”の設定
レシオでは音を圧縮する比率を設定していく。
レシオは、2:1、3:1、4:1、等“○ : 1″と言う形で表わされ、○の部分の数字が小さい程圧縮率は低く(原音に近く)、逆に○の部分の数字が大きくなる程に圧縮率は高く(原音から遠く)なる。レシオが2:1に設定されていれば、スレッショルドを超えた音が1/2に圧縮され、3:1に設定されていれば、スレッショルドを超えた音が1/3に圧縮されていく事になる。
多くのプラグインエフェクトやアウトボードエフェクトでは、レシオが”1 : 1 ~ ∞ : 1″の間で設定できるようになっており、デジタル(VSTプラグイン)なら圧縮率が具体的に数字で表示され、目で見ながら細かい数値を設定出来る。逆に、アウトボードエフェクトでは「耳で聴きながら」感覚的な判断も必要になってくるかもしれない。
レシオの設定方法にしても、可変調整可能なつまみタイプのものもあれば、UA1176LNや、そのモデリング品のようにレシオの数値があらかじめいくつか固定で設定されていて、その中からユーザーが任意の値を選ぶような製品もある。
冒頭でも触れたように、このコンプレッサーを応用したエフェクトがリミッターであり、リミッターの場合はレシオが”∞:1″になる。つまり、「スレッショルド値を超えた音はスレッショルド値まで徹底的に圧縮してしまう」と、言う事になる。
“スレッショルド(Threshold)”の設定
スレッショルドは、「この音量を超えたら音の圧縮を始めます」と言う意味のパラメーターである。
もし、仮にスレッショルドを-6dBに設定した場合は、-6dBを超えた音に対してコンプレッションがかかり、スレッショルドを-20dBに設定した場合は、-20dBを超えた音に対してコンプレッションがかかる事になる。
つまり、もし楽曲中のピークが-10dBで一度も-6dBを超える箇所が無い曲の2ミックス(Mix)にスレッショルドを-6dBに設定したコンプレッサーをかけたとしても、全く音は圧縮されない事になる。
“ゲイン(Gain)”の設定
スレッショルドを超えた部分の音が圧縮されると、その分最大音量(ピーク)やスレッショルドを超えた部分の全体的な音量は下がる。したがって、この”ゲイン”で下がった分の音量を持ち上げる事で音量を調整する。